巡回写真展「スウェーデンのパパたち」
クロージングイベントへ参加してきました!
これまで2年の歳月をかけて
日本全国46会場を巡回した写真展もいよいよ最終日。
昨年9月に三島で写真展を開催をさせていただいたご縁で
代表のなかじまと、事業リーダーの鈴木で、
スウェーデン大使館まで足を運びました。
六本木一丁目駅から徒歩すぐ、という好立地。
久々に見た、スウェーデンのパパたち。
なんだか懐かしくて、久々にお友達に会ったような、
暖かくて不思議な気持ちになりました。
昨年9月の三島開催にあたっては、
たくさんの出会いとサポート、そして対話の数々。
そこからの気づきと学びに感謝しています。
ありがとうございました!
三島開催のときの写真。新聞やTVにも紹介いただきました。
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さて、クロージングイベントのテーマは、
「父親の育児休業取得~経済効果へのカギ」
当日の様子をご紹介します。
当日の流れ
・衆議院議員和田氏のビデオによる基調講演
・第1部 パネルディスカッション
・第2部 対談「育休を取得して思うこと」
※こちらは別記事でご案内します
◆最初は、スウェーデン大使館 ヘーグベリ駐日大使からのご挨拶
“育休は女性の、そして男性の「権利」です。
スウェーデンにはパパママクウォータ(どちらかが取得しないと消えてしまう有給休暇)、
8割の給与保証があり、政治的にも後押しがあります。”
◆基調講演:衆議院議員 和田義明さん
ビデオでの基調講演。
お子さんを膝に抱えながら。
こういうイベントならではですね。
「昨年6月~男性育休議員連盟を立ち上げ、
1~2年をめどに法律改正を目指している。
理由は、
①人口減少(少子化対策)、②出産直後の自殺防止、③子育てによる幸せを世の父親にも感じて欲しいから。
日本の男性育休取得率は6%、
これからはスウェーデンと同様に子育ても仕事も当たり前にできる時代に。
自民党公式プロジェクトとして動きを加速していく予定。」
小泉さんの育休取得もあり、要注目ですね。
◆第2部:パネルディスカッションの様子
左から、
駐日スウェーデン大使 ペールエリック・ヘーグベリ氏、積水ハウス 仲井社長、イケア・ジャパン ライス社長。
そしてモデレーターは治部れんげさんという素晴らしい方々のお話。
ヘーグベリ大使とライス社長、治部さんは英語、
仲井社長のみ日本語、と慣れない日英のディスカッションで、
訳のニュアンスは若干異なる場合があります、あしからず
◆自己紹介、そして自身の経験から
・ヘーグベリ大使
18歳と16歳の子どもがおり、それぞれ育休を取得した経験あり。
父親としての責任・義務、そして「権利」として。
育休中の育児は困難ばかりだった。
何も習ったことのない子育て、どうしたらよいのか妻に聞くと、
「わからないわ。私も初めて親になったので、あなたに言えることはない。
自分のやり方でやってみて」
と言われた。
人生の中で子どもとの関係が大事。
きっと取得してなかったら関係性は変わっていた。
ヘーグベリ大使は、この講演の中で、
度々「権利」(Rights)という言葉を
使っていたのが印象的でした。
それだけ、当たり前で誰にでも享受されるべきもの、という意識が根付いているのだと思います。
男女ともに。
実際に経験者の発する言葉は説得力があり、
表情は自信に満ちていて、心に訴えかけてきました。
こういう何気ないエピソードを広めていくことも、
男性が育児参画していく後押しになるのだと思います。
だから、育児参画している人は自身のエピソードを、もっと伝えてほしい。
◆若年層の意識の変化
・積水ハウスが導入した、イクメン休業※。
始めたきっかけは仲井社長がストックホルムに行った際、公園でベビーカーを押しているのが全員男性だったこと。
※3歳になるまでに1か月以上の休みが取れるよう、
最初の1か月は有給、4分割まで可能。1年間で253人全員が取得済み
左から2番目が仲井社長、54歳。
60代もいる役員たちを説得できた鍵は「孫世代のこととして投げかける」こと
やろうと決意できた理由は、
「30代(ミレニアム世代)の結婚観について
知っていたから。
彼らはとてもイーブンで、
時代は変わってきたと感じていたから。」
それに対し、イケア・ジャパン ライス社長も、
「若い人たちの価値観は変わってきている。
単なる収入ではなく、
「キャリア」や「QOL」が重要視されてきている。
また、キャリアを考える時も、
報酬だけでなく、
休日や自由になる時間があるか、
健康でいられるか、
という点がとても重要視されるようになっていると感じる。
そのうえで若い世代では、
行動も変化してきている。」
経営課題としての、採用・雇用という面でも、
若年層の意識の変化、
そして行動の変容を理解し、制度や風土を変えていく必要があることを改めて感じます。
右から2人目がライス社長。
自身も子どもがおり、パートナー選びの重要性も訴えられていました。そしてイケア・ジャパンでは役員の男女比率は半々になっているそう。
◆働き方のフレキシビリティがイノベーションへ
・フレキシブルに働けることは、イノベーションにもかかわってくる。
スウェーデンではユニコーン企業が多い。
それらの企業も、フレキシビリティが高い。
<ヘーグベリ大使>
・人口減少社会で、労働力が必要。
そのためにワークライフバランスが大事。
何時間働いたか、よりも生産性が大事。
イケアでもリモートを取り入れている。
家でもカフェでもどこでも仕事してよい。
それでできた休み時間をどう使うか考え、
仕事の仕方を変える必要がある。
<イケア・ジャパン ライス社長>
◆中小企業への導入のキーワード
・「政治的後押し。スウェーデンはあった。
税制と保育園の確保。」
<ヘーグベリ大使>
・正直、10人中3人が休んだらつらい。
そこは上司の腕の見せ所。
ずらしながら取得するなど、
コミュニケーションをよくとることが必要では。
それが逆に面白い。
里帰りだと出産直後よりも、
そのあとの入園タイミングのほうがよかったり、
状況によって千差万別なので。
フレキシビリティのある働き方は「介護」のときにも助かる。
<積水ハウス 仲井社長>
◆最後に、登壇者からのメッセージ
・国への投資という観点で、協業は必要。
いったん進めれば、日本は進められる風土がある、だから必ずできる
<イケア・ジャパン ライス社長>
・イノベーションが起きやすい社会へ。
社内で日本のパパたちの写真コンテストを
開催したい!
<積水ハウス 仲井社長>
・今、父の人も、これから父になる人も、
権利を伝えよう。
家にいたいという意志も!
収入だけでなく、家庭にもいい影響がある。
素晴らしい機会を見逃さないで!
子どもを知り、そして学ぶ。
人生が変わる。
自分自身の父親像を見つけて!
<ヘーグベリ大使>
◆育休取得1か月は、長いか、短いか
・積水ハウスの男性育休取得者のアンケート結果
長い:1割、
短い:1割、
ちょうどいい:8割。
だったそうです。
参加されていたママたちの意見は、
「1か月じゃ何もわからない」
「先が見えているので何とか耐えしのげる」
と、厳しめ意見ですが、
周りのママたちは短すぎるという意見が多かったです。
わたしはその時、
「何のための育休か?」
と考えました。
休みを取得することは目的ではなく、
育休の、その先に、
もっと父親として、パートナーとして、家族として、
どうあるべきか、
どんな役割を果たし、
どうしたら幸せに過ごせるか、
それらを実現していくための一歩(手段)なのだと思います。
育休は仕事のためにもなりますが、
子どものため、家族のため、
そして自分自身のため
なのだと、
改めて考えなおすことが出来ました。
だから、わたし個人は育休取得が
スムーズな育児参画への
最善の方法だとは思うし、
長く取れるなら長く取った方がいいとは思います。
でも、1ヶ月で足りるかどうかは家族のカタチ次第。
そんな風に思います。
長くなったので、いったんここまで。
(すみません・・悪い癖です)
第2部の育休取得された男性管理職二人の対談の様子は、また次回にお伝えします。
そちらも当事者の TRUE STORYが満載。
男性の育児参画が当たり前になるとどんな世界になるのか、想像しやすくなると思います。
文責: 鈴木 陽子